004. 電源確保における発電機と蓄電池との違い
発電機と蓄電池は、どちらも停電時などに電力を供給する装置ですが、その仕組みや特徴には大きな違いがあります。
1.仕組み
- 【発電機】 燃料(ガソリン、軽油、ガスなど)を燃焼させて電気を生成します。
- 【蓄電池】 電気を蓄えて、必要な時に放電します。
2.特徴
区分 | 発電機 | 蓄電池 |
---|---|---|
メリット | ・長時間、大容量の電力を供給できる | ・静かで排気ガスが出ない ・設置場所を選ばない |
デメリット | ・騒音や排気ガスが出る ・燃料の調達・保管が必要 ・定期的なメンテナンスが必要 | ・蓄電容量に限りがある ・発電機に比べて高価 |
3.用途
【発電機】
- 建設現場やイベントなど、屋外での電源確保
- 停電時の非常用電源(長時間)
- 電力会社からの電力を代替する常用電源
【蓄電池】
- 家庭用バックアップ電源
- コンピュータなどの情報通信機器のバックアップ電源
- 太陽光発電システムとの連携
- 医療機器や介護機器のバックアップ電源
4.その他
【発電機】
- 燃料が必要なため、燃料切れに注意が必要です。
- 騒音や排気ガスが問題となる場合があります。
- 発電機から供給される電気の波形には、「正弦波」と「矩形波」の2種類があり、矩形波タイプの発電機には精密機器を接続するには適していません。精密機器を破壊する可能性があります。
- 突入電流とは、電気機器に電源を投入したときに、一時的に流れる大電流のことです。発電機も例外ではなく、始動時や負荷投入時に大きな突入電流が流れます。それによって精密機器を破壊する可能性があります。
*【正弦波】とは、家庭用コンセントから供給される電気と同じ波形です。滑らかで歪みの少ない波形であり、精密機器の使用に適しています。インバーター発電機で生成されます。
*【矩形波】とは、波形がギザギザしており、正弦波に比べて歪みが大きいです。そのため、精密機器の使用には適していません。故障の原因となる可能性があります。一般的な発電機で生成されます。
【蓄電池】
- 充電に時間がかかる場合があります。
- 蓄電容量には限りがあります。
発電機と蓄電池を選ぶポイント
上記の通り、発電機と蓄電池は明確な違いがあります。しかし、双方の特性を活かして、有効的な使い方や併用するによりお互いの短所を補う事ができます。
バッテリーオプションを医療機器から外して発電機で充電する
例えば、人工呼吸器には付属のバッテリーオプションがあります。それを人工呼吸器から外して、バッテリーオプション単体を発電機で充電すれば、人工呼吸器そのものを発電機が破壊するリスクはなくなります。
発電機で発電した電気を蓄電池に貯めて電力供給を行う
蓄電池には蓄電容量に限りがあります。従って、発電機で電力を作り、その電気を蓄電池に貯めれば、発電機の燃料がある限り電気供給が可能になります。但し、蓄電池の仕様をよく確認して使用してください。医療機器用蓄電池レムリアはそれが可能です。
発電機を選ぶなら、インバーター式のガス発電機がおすすめ
前項で、「正弦波」と「矩形波」の説明をしましたが、正弦波式の発電機を【インバーター式発電機】とも言います。精密機器を接続する場合は、それを選ぶべきでしょう。そして、発電機には燃料としてガソリンタイプとガス(LPガスやカセットガス)タイプの大きく2種類がありますが、ガスタイプの発電機をおすすめします。何故ならば、ガソリンタイプの場合、ガソリンの備蓄の取扱いが難しく、使用後のメンテナンスが必須となるからです。