005. 生命維持装置を必要とする患者と蓄電池

生命維持装置を必要とする患者様は、その疾患や状態によって多岐に渡ります。大きく分類すると、呼吸器系、循環器系、神経・筋疾患、代謝性疾患などに起因するケースが多いです。他にも様々な原因で生命維持装置が必要となる場合があります。医療現場では、それぞれの患者様の状態に合わせて、適切な医療機器が選択され、使用されています。

医療機器用蓄電池レムリアは、これらの生命維持装置のバックアップ電源として、非常に重要な役割を担っています。停電時や災害時など、非常時においても病院だけでなく、在宅で生命維持装置を使用している医療的ケア児、難病患者、高齢者などにとっても非常に重要な役割を果たします。停電時など、非常時においても安定した電力供給を確保することで、高齢者や患者様の安全を確保するために、必要不可欠な製品と言えるでしょう。

以下、具体的な疾患や状態を挙げてご説明いたします。

これらの疾患により、自力での呼吸が困難になり、人工呼吸器などの生命維持装置が必要となる場合がございます。

先天性疾患
  • 先天性気道狭窄:気管や気管支が生まれつき狭くなっている状態。
  • 先天性横隔膜ヘルニア:横隔膜に穴が開いており、腹部の臓器が胸腔内に入り込んでいる状態。
  • 気管食道瘻:気管と食道がつながっている状態。
慢性呼吸器疾患
  • 気管支肺異形成症(BPD):未熟児に多く見られる慢性的な肺疾患。
  • 嚢胞性線維症(CF):遺伝性の疾患で、肺や消化器などに粘稠な分泌物が蓄積する。
  • 重症喘息:難治性の喘息発作を繰り返す。
感染症
  • 重症肺炎
  • 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)

これらの疾患により、心臓の機能が著しく低下し、生命維持装置が必要となる場合がございます。

  • 先天性心疾患:生まれつき心臓の構造に異常がある疾患。重症の場合、手術後も補助循環装置やペースメーカーなどの装着が必要となることがあります。
  • 重症心不全:心臓のポンプ機能が著しく低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなる状態。補助人工心臓(VAD)などの装着が必要となる場合があります。
  • 心筋梗塞、心筋炎などの急性疾患:心臓の機能が急激に低下した場合、一時的に補助循環装置が必要となることがあります。

上記、呼吸器系の疾患でも触れましたが、神経・筋疾患は呼吸機能の低下を引き起こすことが多く、人工呼吸器が必要となる主要な原因の一つです。

  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS):進行性の疾患であり、最終的には呼吸筋の麻痺により人工呼吸器が必要となります。
  • 筋ジストロフィー:様々な種類がありますが、進行性の筋力低下により呼吸機能が低下し、人工呼吸器が必要となる場合があります。
  • 脊髄性筋萎縮症(SMA):運動発達の遅れや筋力低下が見られ、重症の場合、呼吸機能のサポートが必要となります。
  • 重症筋無力症:神経と筋肉の接合部に異常が生じる疾患で、筋力低下や易疲労性が現れます。呼吸筋に影響が出ると人工呼吸器が必要となる場合があります。

重症の場合、臓器不全などを引き起こし、生命維持装置が必要となる場合があります

  • 重症複合型免疫不全症(SCID):免疫機能が著しく低下する疾患で、感染症を繰り返しやすく、重症化しやすいです。感染症による呼吸不全などを引き起こす可能性があり、生命維持装置が必要となる場合があります。
  • 先天性代謝異常症:生まれつき特定の物質を代謝する酵素が欠損している疾患。
  • 重症熱傷:広範囲の熱傷により、体液バランスの異常や感染症のリスクが高まり、生命維持装置が必要となることがあります。
  • 多臓器不全:複数の臓器の機能が同時に低下した状態。生命維持装置による集中的な治療が必要となります。
  • 重度脳性麻痺:出生時の脳への損傷などが原因で、運動機能や知的発達に障害がある状態。呼吸機能や嚥下機能に障害がある場合、生命維持装置が必要となることがあります。
  • 周産期疾患:出生直後の新生児に発生する様々な疾患。重症の場合、人工呼吸器や保育器などの生命維持装置が必要となります。

医療的ケア児とは、医学の進歩を背景に、NICU(新生児集中治療室)等に長期入院した後、引き続き人工呼吸器装着や胃ろう等の医療的ケアが必要とされる子どもたちのことを指します。上記の疾患を持つお子さんたちが、医療的ケア児に該当するケースが多いです。

高齢者が生命維持装置を必要とするケースは多岐に渡ります。加齢に伴う様々な身体機能の低下が原因となる場合や、高齢になるにつれて罹患リスクが高まる疾患が原因となる場合などがあります。

  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD):長年の喫煙などが原因で肺の機能が低下する疾患です。進行すると呼吸困難が常態化し、酸素吸入や人工呼吸器が必要となることがあります。高齢者では罹患率が高く、生命維持装置を必要とするケースも多く見られます。
  • 肺炎:高齢者は免疫力が低下しているため、肺炎にかかりやすく、重症化しやすい傾向があります。重症化すると呼吸不全に陥り、人工呼吸器による治療が必要となる場合があります。特に、誤嚥性肺炎は高齢者に多く、注意が必要です。
  • 間質性肺炎:肺の間質という部分に炎症が起こる疾患です。進行すると肺の機能が著しく低下し、酸素吸入や人工呼吸器が必要となることがあります。
  • 神経筋疾患:筋萎縮性側索硬化症(ALS)や筋ジストロフィーなどの神経や筋肉の病気は、呼吸に必要な筋肉の機能も低下させるため、高齢になると人工呼吸器が必要となるケースがあります。
  • 重症心不全:心臓のポンプ機能が著しく低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなる状態です。高齢になると心臓の機能が低下しやすく、心不全を発症するリスクが高まります。重症の場合、補助人工心臓などの生命維持装置が必要となることがあります。
  • 急性心筋梗塞:心臓に血液を送る血管が詰まり、心筋が壊死してしまう病気です。重篤な場合、心臓のポンプ機能が著しく低下し、生命維持装置が必要となることがあります。
  • 脳血管疾患(脳卒中など):脳卒中後、意識障害や麻痺などが残存し、自力で呼吸ができなくなる場合があります。その場合、人工呼吸器が必要となります。
  • 悪性腫瘍(癌):癌が進行し、呼吸器や循環器などの臓器に影響を及ぼす場合、生命維持装置が必要となることがあります。
  • 手術後の合併症:大きな手術後、合併症として呼吸不全や循環不全を起こす場合があります。その場合、一時的に生命維持装置が必要となることがあります。
  • 老衰による多臓器不全:加齢に伴い、複数の臓器の機能が同時に低下していく状態です。生命維持装置による集中的な治療が必要となることがあります。

以下の医療機器全て、医療機器用蓄電池レムリアで使用する事が可能です。

  • 人工呼吸器:肺の機能を補助し、酸素の供給と二酸化炭素の排出を行います。
  • 酸素濃縮器:酸素濃縮器とは、空気中の窒素を取り除き、高濃度の酸素を供給します。
  • 痰吸引機:自力で痰を排出することが難しい方が、痰を吸引するために使用します。
  • 加温加湿器:吸入するガスに適切な温度と湿度を与え、気道の乾燥を防ぎ、痰の排出を促すために使用されます。
  • 人工心肺装置(ECMO、PCPSなど):心臓と肺の機能を一時的に代行し、血液の酸素化と全身への循環を維持します。
  • 補助人工心臓(VAD):心臓のポンプ機能を補助し、全身への血液循環を維持します。
  • ペースメーカー:心臓のリズムが遅くなったり、不整になったりする不整脈を治療するために使用されます。
  • 血液透析装置:腎臓の機能を代行し、血液中の老廃物や余分な水分を除去します。
  • 補助循環装置:補助循環装置とは、心臓の機能が低下した際に、心臓のポンプ機能を補助します。
  • 輸液ポンプ、シリンジポンプ:薬液や栄養剤などを正確な速度で投与します。
  • 保育器:未熟児や新生児の体温管理や呼吸管理などを行います。
  • 胃ろう:口から食事を摂ることが難しい患者さんのために、お腹に小さな穴を開けて胃に直接チューブ(カテーテル)を挿入し、そこから栄養や水分を補給します。