一般蓄電池と医療機器用蓄電池は、どちらも電気エネルギーを蓄えて必要な時に供給する装置ですが、使用目的と求められる安全性・信頼性が大きく異なるため、設計や規格、機能に明確な違いがあります。

以下では、その違いについて説明します。

一般蓄電池

一般蓄電池は、家庭用、産業用、携帯機器用など、幅広い用途で使用されています。主な目的は、停電時のバックアップ電源、太陽光発電などの再生可能エネルギーの有効活用、電力需要のピークカットなどです。

  • 主な用途
    • 家庭用:照明、家電製品、情報機器などのバックアップ電源
    • 産業用:工場設備、オフィス機器、非常用電源
    • 携帯機器用:スマートフォン、ノートパソコン、モバイルバッテリー
  • 特徴
    • 比較的安価に入手可能
    • 様々な容量、サイズ、形状の製品がある
    • 安全性に関する基準は存在するものの、医療機器ほど厳格ではない
    • 人命に直接関わる機器への使用は想定されていない

医療機器用蓄電池

医療機器用蓄電池は、病院、診療所、介護施設、在宅医療など、医療現場で使用される医療機器への電力供給を目的として設計されています。人命に直結する機器への使用を想定しているため、極めて高い安全性と信頼性が求められます。

  • 主な用途
    • 人工呼吸器、生体情報モニタ、輸液ポンプなどの生命維持装置のバックアップ電源
    • 手術室、集中治療室、検査室などの医療機器のバックアップ電源
    • 在宅医療で使用される医療機器のバックアップ電源
    • 医療的ケア児や難病患者在宅医療で使用される医療機器のバックアップ電源
  • 特徴
    • 医療機器規格(JIS T 0601-1など)に適合している必要がある
    • 高い安全性と信頼性を確保するための設計、製造、品質管理が求められる
    • 電気的リスクや機械的リスク、環境的リスクなどの様々なリスクリスク管理が求められる
    • 一般蓄電池に比べて高価

重要な違い:JIS T 0601-1規格

結局のところ、「一般蓄電池と医療機器用蓄電池との違い」とは【安全性】が圧倒的に違うということになります。医療機器用蓄電池の最大の特徴は、医療機器規格であるJIS T 0601-1に適合していることです。この規格は、医療用電気機器の安全性と基本性能に関する要求事項を定めており、感電、火災、機械的危険、電磁波干渉など、様々なリスクに対する安全性が確保されている必要があります。一般蓄電池はこの規格に適合していないため、人命に直結する医療機器への使用は禁止されています。

全ての電子機器に存在するリスク

電子機器には、使用環境や機器の種類、使用方法などによって様々なリスクが存在しますが、ほぼ全ての電子機器に共通するリスクについて、大きく分けて以下の3つの観点からご説明いたします。

  1. 電気的リスク
    • 【感電(漏れ電流)】 電子機器の絶縁不良や故障などにより、人体に電流が流れ感電するリスクがあります。特に、水に濡れた状態での使用や、濡れた手で操作することなどは危険です。医療現場では、患者が感電する事は絶対あってはならないことです。
    • 発火・発熱】 電子部品の過熱、ショート、配線不良などにより、発火や発熱のリスクがあります。特に、充電中の放置や、高温多湿な場所での使用は避けるべきです。病院内での発火は絶対あってはならないことです。
    • 電磁波(ノイズ)】電子機器は動作中に電磁波を発生します。人体への影響については様々な研究が行われていますが、長時間の使用は健康に影響を与える可能性も指摘されています。病院内で患者への影響や他医療機器への影響を与える事は絶対あってはならないことです。
  2. 機械的リスク
    • 【落下・衝撃】 機器の落下や衝撃により、破損や故障のリスクがあります。特に、精密機器や可動部が多い機器は注意が必要です。
    • 【挟み込み・切断】可動部がある機器(例:プリンター、スキャナー)では、指や髪の毛などを挟み込んだり、切断したりするリスクがあります。
    • 【部品の脱落】部品の経年劣化や衝撃などにより、部品が脱落するリスクがあります。脱落した部品を誤って飲み込んでしまうなどの事故も考えられます。
  3. 環境的リスク
    • 【温度・湿度】高温多湿な環境や、極端に低温な環境で使用すると、機器の故障や性能低下のリスクがあります。
    • 【粉塵・異物】粉塵や異物が機器内部に侵入すると、故障や発熱の原因となることがあります。
    • 【水濡れ】水に濡れると、ショートや故障の原因となります。防水・防滴性能を備えていない機器は、特に注意が必要です。

人工呼吸器(医療機器)は厳格な医療機器安全規格を取得していますが、商用コンセントと人工呼吸器を電気的に接続する蓄電池が、この重要な規格を取得していない場合、システム全体の安全性は根本から損なわれてしまいます。蓄電池は電力供給経路の一部として、人工呼吸器と同等の安全性が求められるため、医療機器安全規格への適合は必須条件と言えます。

医療機器規格JIS T0601-1とは

医療機器用蓄電池レムリアは、JQA(一般財団法人 日本品質保証機構)によるJIS T 0601-1の認証を取得しています。これは、レムリアが医療機器として必要な安全性と基本性能を満たしていることを示しています。と同時に、JQAからSマーク(S-JQA)を取得しております。

JIS T 0601-1は、正式名称を「医用電気機器-第1部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項」といい、日本産業規格(JIS)の一つです。この規格は、国際規格であるIEC 60601-1を基に作成されており、医療用電気機器の安全性と基本性能に関する一般的な要求事項を定めています。

簡単に言うと、「医療現場で使用される電気機器は、患者様や医療従事者にとって安全で、かつ適切に機能しなければならない」ということを定めた、非常に重要なルールブックのようなものです。

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医療機器と一般蓄電池の違い

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