001. バックアップ電源の種類
バックアップ電源は、停電などの非常時における電力供給を確保し、人命や重要なデータを守るために不可欠な装置です。用途や必要性に応じて、適切な種類のバックアップ電源を選ぶことが重要です。
以下にはその代表的な種類について説明します。
バッテリー式
充電式のバッテリー(電池)に電力を蓄えておき、停電時に放電して電力供給を行います。小型で設置が容易なものから、大規模な施設向けの大型のものまで、様々な種類があります。
UPS(無停電電源装置)
停電時に瞬時に電力供給に切り替えることができるため、コンピューターやサーバーなどの情報機器の保護に最適です。
モバイルバッテリー(一般蓄電池)
外出先や電源のない場所でもスマートフォンやタブレットなどのモバイル機器を充電できる小型の携帯型バッテリーのことです。
ポータブル電源(一般蓄電池)
主にアウトドア・レジャーにて家電製品を使用したり、スマートフォンやカメラを充電したりできます。
家庭用蓄電池(一般蓄電池)
住宅に設置され、多くは太陽光パネルで発電された電気を貯め、電気料金の節約や停電対策として利用されます。
産業用蓄電池(一般蓄電池)
工場やオフィスビルの事業活動で利用される蓄電池のことです。BCP対策、電力ピークカット、電力系統の安定化などに利用されます。
医療機器用蓄電池
停電時でも医療機器が安全に稼働し続けるように設計された蓄電池のことです。
発電機式
ガソリン、ディーゼル、ガスなどを燃料として発電機を動かし、電力を供給します。長時間の電力供給が可能ですが、燃料の補給が必要です。メンテナンスも必要です。また騒音や排気ガスが発生する場合があります。
非常用発電機
【主な目的】
停電時など非常時に、照明や医療機器など、人命に関わる重要な設備に電力を供給すること。
【設置場所】
病院、介護施設、商業施設、オフィスビルなど、人命に関わる設備がある施設に設置されることが多い。
【起動方法】
停電を感知すると自動的に起動するものが一般的。
【燃料】
多くはディーゼルエンジンを使用し、燃料は施設に備蓄される。
【関連法規】
消防法や建築基準法など、法令で設置が義務付けられている場合がある。
自家発電機
【主な目的】
常用電源として、電力会社からの電力供給を補う、または代替する。電力ピークカット対策として、電力消費量の多い時間帯に発電機を稼働させることで、電気料金を削減する。非常用電源として、停電時に電力を供給する。
【設置場所】
工場、大規模な商業施設、データセンターなど、電力消費量の多い施設に設置されることが多い。
【起動方法】
手動または自動で起動する。
【燃料】
ディーゼルエンジン、ガスタービン、ガスエンジンなど、様々な燃料が使用される。
【関連法規】
電気事業法など、法令による規制を受ける。
ポータブル(可搬式)発電機
【主な目的】
屋外での作業やレジャー、非常時など、様々な場面で手軽に電源を確保すること。
【設置場所】
屋外で使用されることが多く、持ち運びが可能。
【起動方法】
手動でエンジンをかける。
【燃料】
ガソリンやLPガス、カセットガスなどを使用する。
【関連法規】
特になし(ただし、使用場所や騒音に関する規制を受ける場合がある)。
ソーラーパネル式
太陽光を利用して発電し、電力を供給します。天候に左右されるため、安定した電力供給が難しい場合があります。蓄電池と組み合わせて使用することで、安定性を高めることができます。環境に優しい電源として注目されています。
燃料電池式
水素と酸素の化学反応を利用して発電します。発電効率が高く、クリーンなエネルギー源として期待されています。水素供給インフラの整備などが課題となっています。
バックアップ電源を選ぶ際のポイント
バックアップ電源を選ぶ際には、以下の点を考慮する必要があります。
必要な電力容量
接続する機器の消費電力の合計を確認し、必要な電力容量を持つバックアップ電源を選ぶ必要があります。
バックアップ時間
どのくらいの時間、電力供給を維持する必要があるかによって、バッテリー容量や燃料の量を考慮する必要があります。
切り替え時間
停電時にどのくらいの時間で電力供給に切り替わるかを確認する必要があります。瞬時切り替えが求められる機器には、UPSや蓄電池(ESS)などが適しています。
設置場所
設置場所の広さや環境(騒音、排気ガスなど)を考慮する必要があります。
コスト
導入コストだけでなく、運用コスト(燃料費、メンテナンス費など)も考慮する必要があります。
関連法規・許認可
消防法や建築基準法、電気事業法などを確認する必要があります。