002. 蓄電池とUPSとの違いについて

蓄電池(ESS:Energy Storage System)と無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply)は、どちらも停電時などに電力を供給する装置ですが、その目的や機能、仕組みには明確な違いがあります。これらの違いを理解することで、用途に合った適切な装置を選ぶことができます。以下、詳しくご説明いたします。

*蓄電池やUPSなどを総称して【バックアップ電源】と呼びます。詳しくは「001. バックアップ電源の種類」をご覧ください

蓄電池は、電気エネルギーを化学エネルギーとして蓄え、必要に応じて電気エネルギーとして取り出す装置です。充電することで繰り返し使用できる二次電池(主にリチウムイオン電池)が一般的です。蓄電池自体は直流(DC)の電気を蓄えます。

主な用途

  • 家庭用蓄電池(一般蓄電池):太陽光発電システムとの連携、非常用電源
  • 産業用蓄電池(一般蓄電池):工場設備のバックアップ電源、電力系統の安定化
  • 医療機器用蓄電池:手術室、集中治療室など、停電が許されない場所で使用
  • 電気自動車(EV)用バッテリー
  • 携帯機器用バッテリー

特徴

  • 長時間の電力供給が可能。
  • 太陽光発電などの再生可能エネルギーと組み合わせて効率的に電力を利用できる。
  • 直流電力を蓄える。

UPSは、停電時に瞬時に電力を供給し、接続された機器を安全に停止させたり、一定時間稼働させ続けたりするための電源装置です。蓄電池(主に鉛電池)を内蔵していますが、単なる蓄電池とは異なり、蓄電容量が少ない(電力供給時間が少ない)ものが主流です。

主な用途

  • 接続されている情報通信機器などを正常にシャットダウンさせるため
  • コンピューター、サーバー:データ損失を防ぐため
  • POSシステム:店舗でのレジ業務の一時的継続
  • 通信機器:ネットワーク機器の安定稼働

特徴

  • 停電時に瞬時に(数ミリ秒以内)電力供給に切り替える。
  • 内蔵する蓄電池の容量によってバックアップできる時間が異なる(一般的に短時間)。
  • 電力の品質を安定化させる機能を持つものもある。

蓄電池またはUPSを選ぶ際には、以下の点を考慮する必要があります。

目的の違い

蓄電池は、停電時など、電力が供給されない状況下で、長時間電力を供給することを主な目的としています。UPSは停電や電圧低下などの電源異常が発生した場合に、接続された機器を安全にシャットダウンさせたり、短時間だけ電力を供給したりすることを主な目的としています。

必要な電力容量と電力出力

蓄電池は比較的、最大出力が大きく、蓄電容量を大きいのが一般的で、UPSは最大出力が小さく、蓄電容量は少ないのが一般的です。接続する機器の消費電力の合計を確認し、必要な電力容量・出力を持つバックアップ電源を選ぶ必要があります。

バックアップ時間

どのくらいの時間、電力供給を維持する必要があるかによって、バッテリー容量を考慮する必要があります。

切り替え時間

停電時にどのくらいの時間で電力供給に切り替わるかを確認する必要があります。

設置場所

設置場所の広さや環境を考慮する必要があります。

コスト

導入コストだけでなく、運用コスト(電池交換費、メンテナンス費など)も考慮する必要があります。

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